>市町村変遷パラパラ地図>四方山話>描いていないものが見える
2006年02月15日
まずはこちらをご覧ください。
図1:徳島県1889/10/01(市制・町村制施行時)
さて、この図から何か描いていないものが見えませんか?描かれているのは市町村・郡の境界線、市町村名のみ。しかし、注目してほしいのは各市町村の面積です。ある地域にはなぜか小さい村が固まっている。答えを言いましょう。描いていないのに見えるもの、それは『吉野川』です。
一般に集落は水が豊富な平地に栄えます。川は平野を作りますから川沿いに集落が発展するのは当然のことです。そして、明治の大合併による集落から村への移行。人口の多い川沿いでは複数の集落が集まって村を形成したとしても、小さい面積であることが多くなります。また、現在ほど橋梁技術のない時代です、川は人の行き来を阻む障害として村境、ひいては郡境となるに適した存在だったのです。
現在は橋脚技術も発達し、対岸との交流も格段に増えました。合併対象は同岸の小さな町村より対岸の都市を選ぶ、そんな町村も増えています。そのため、例えば過去には『越すに越されぬ大井川』でさえ、島田市の対岸である初倉村と金谷町の合併により、市内を流れる川となっています。
図2:(左)1889/04/01島田町周辺図(中)1957/10/01島田市周辺図(右)2005/10/11島田市周辺図
ご覧の地図(中)では大井川は金谷町と島田市、初倉村と島田市と郡境である赤線を流れて海へ注いでいます。さらにかつては(左)のように上流部もまた下川根村と伊久身村間で大井川が郡境となっていました。(詳しい変遷はパラパラ地図志太・榛原版をどうぞ)しかし、合併の進んだ現在(右)、市町村境から大井川を見ることはできません。
他にも長野県完全版や静岡県完全版などで描かれていない自然地形、平野、盆地、河川の大まかな流路などを見ることができます。小さい自治体が集まるところは平地が広がっていたり、逆に巨大な自治体しかないところは山間部であったり、いろいろ気付くことがあるかもしれません。
あなたも過去の自治体境地図から描かれていないはずの自然地形を感じとってみてはいかがでしょうか。
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